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令嬢は元暗殺者に恋をする
第78章 戦い -4-
「しかたがないね」
言って、ハルは親指を口許に持っていき、舌先でちろりと舐めた。
ハルのその仕草に、少年は訝しんでぴくりと眉を動かす。そして、はっとなる。
「お姉さん、だめだ……その人今、口に……」
何かを言いかけようとする少年を、ハルは黙れと目で制する。
その厳しい眼差しに少年はひっと喉の奥で悲鳴を飲み込む。
「お願い、ハル」
「サラのお願いでも、それだけはきけない」
「どうして!」
「そいつは敵だ」
「そんなこと知ってるわ。ファルクに雇われてハルを殺そうとしたのでしょう? でも、この子をかばうのはハルのためよ!」
俺のため? とハルは眉根を寄せる。
「ハルだって本当はこの子を手にかけたくないはず。そうよね?」
「もし、そう思っているのなら、サラはまだ俺のことをわかっていない」
「いいえ! その証拠にこの子を殺すのをためらったわ」
ためらったのとは少し違う。が、痛いところをついてくる。
「お願い、見逃してあげて。それに、私……」
ハルがこんな小さな子を殺すところは見たくはないの、と呟くサラの最後の言葉はほとんど声にはならなかった。
言って、ハルは親指を口許に持っていき、舌先でちろりと舐めた。
ハルのその仕草に、少年は訝しんでぴくりと眉を動かす。そして、はっとなる。
「お姉さん、だめだ……その人今、口に……」
何かを言いかけようとする少年を、ハルは黙れと目で制する。
その厳しい眼差しに少年はひっと喉の奥で悲鳴を飲み込む。
「お願い、ハル」
「サラのお願いでも、それだけはきけない」
「どうして!」
「そいつは敵だ」
「そんなこと知ってるわ。ファルクに雇われてハルを殺そうとしたのでしょう? でも、この子をかばうのはハルのためよ!」
俺のため? とハルは眉根を寄せる。
「ハルだって本当はこの子を手にかけたくないはず。そうよね?」
「もし、そう思っているのなら、サラはまだ俺のことをわかっていない」
「いいえ! その証拠にこの子を殺すのをためらったわ」
ためらったのとは少し違う。が、痛いところをついてくる。
「お願い、見逃してあげて。それに、私……」
ハルがこんな小さな子を殺すところは見たくはないの、と呟くサラの最後の言葉はほとんど声にはならなかった。

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