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令嬢は元暗殺者に恋をする
第79章 戦い -5-
「ハル!」
「もしかして……見逃してくれるのか?」
「彼女に感謝するといい」
「うそだろ……」
先ほどまでの威勢のよさはどこへいったのか、少年はくしゃりと顔を歪め、崩れるようにその場に膝をつく。
じわりとその目に涙を浮かべて。
「だが、おまえを組織には帰さない。それが条件だ」
「帰れないよ。帰れるわけがない。さっきも言っただろ? 帰ったところで、殺されるだけだって」
「いいのか? 組織から追われることになる」
追われ続けるつらさは身にしみている。
それを、まだ小さいこの少年が背負い続けなければならないのだ。
故郷に帰ることもできず、ろくに言葉の通じない異国の地でひたすら追われることに怯え、逃げ続けなければならない。
人目を避け、誰とも深くかかわることもできず、孤独を抱き……。
少年が自分で思っている以上に厳しいものとなるだろう。
はたしてまだ幼いこの少年に耐えられることができるのか。
「もしかして……見逃してくれるのか?」
「彼女に感謝するといい」
「うそだろ……」
先ほどまでの威勢のよさはどこへいったのか、少年はくしゃりと顔を歪め、崩れるようにその場に膝をつく。
じわりとその目に涙を浮かべて。
「だが、おまえを組織には帰さない。それが条件だ」
「帰れないよ。帰れるわけがない。さっきも言っただろ? 帰ったところで、殺されるだけだって」
「いいのか? 組織から追われることになる」
追われ続けるつらさは身にしみている。
それを、まだ小さいこの少年が背負い続けなければならないのだ。
故郷に帰ることもできず、ろくに言葉の通じない異国の地でひたすら追われることに怯え、逃げ続けなければならない。
人目を避け、誰とも深くかかわることもできず、孤独を抱き……。
少年が自分で思っている以上に厳しいものとなるだろう。
はたしてまだ幼いこの少年に耐えられることができるのか。

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