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令嬢は元暗殺者に恋をする
第80章 戦い -6-
「そうだな。貴様が無事な姿で戻ることができればの話だな」
笑いかけたファルクはふと、自分がだらしがなく口を開けていることに気づき、慌てて口を閉じようとしたが思うようにならず、今度は手であごを押さえる。
が、押さえる手まで震えていて力が入らないようだ。
そこでようやく、ハルは閉じていたまぶたをゆっくりと開く。
「効いたか」
「なに……?」
「貴様が無駄に大声で喚き散らしてくれたおかげで、毒の回りも早かったようだな」
「毒……? 毒だと!」
ファルクの言葉をハルがじっと耐えていたのは、このためであった。
震える両手を見つめているファルクのまぶたが徐々に重そうに垂れ落ちる。
居心地の悪い体勢から立て直そうと腕に力を込めるが、力が入らずそのまま椅子の下に身を崩す。
立ち上がろうと足を踏ん張っても、腕と同様に力が入らない。
「な……」
こめかみを片手を押さえ、緩く頭を振る。
「ど……け……」
ファルクは強引にハルを押しのけ馬車の扉を開け外へと逃れる。
けれど踏み出した足に力が入らず、馬車から不様に転がり落ちてしまった。
笑いかけたファルクはふと、自分がだらしがなく口を開けていることに気づき、慌てて口を閉じようとしたが思うようにならず、今度は手であごを押さえる。
が、押さえる手まで震えていて力が入らないようだ。
そこでようやく、ハルは閉じていたまぶたをゆっくりと開く。
「効いたか」
「なに……?」
「貴様が無駄に大声で喚き散らしてくれたおかげで、毒の回りも早かったようだな」
「毒……? 毒だと!」
ファルクの言葉をハルがじっと耐えていたのは、このためであった。
震える両手を見つめているファルクのまぶたが徐々に重そうに垂れ落ちる。
居心地の悪い体勢から立て直そうと腕に力を込めるが、力が入らずそのまま椅子の下に身を崩す。
立ち上がろうと足を踏ん張っても、腕と同様に力が入らない。
「な……」
こめかみを片手を押さえ、緩く頭を振る。
「ど……け……」
ファルクは強引にハルを押しのけ馬車の扉を開け外へと逃れる。
けれど踏み出した足に力が入らず、馬車から不様に転がり落ちてしまった。

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