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令嬢は元暗殺者に恋をする
第80章 戦い -6-
突然、馬車から落ちたファルクの姿にサラとサラにしがみついていた少年が短い悲鳴を上げる。
「くそ、身体が思うように、動かない、ぞ。目眩が。何……をし……た。この私に、何のどくを……」
徐々にファルクのろれつが回らなくなってきた。
うまく言葉を発することができず、もどかしげに口をぱくぱくとさせ、麻痺した舌を何度も噛む。
足音一つ立てずに馬車から降り立ったハルは、ファルクの側に寄り片膝をついた。
「おまえは……なぜ……へい……き……」
だらしがなく開いたファルクの口から涎がつっと垂れ落ちる。
だが、自分が涎を垂らしていることすらファルクは気づいていない。
それどころか、目の前に立つハルを瞳に映していながらも、その目はどこか虚ろであった。
「これを、貴様に返すと約束したな」
ファルクの眼前に、例の小瓶をゆらゆらと揺すってちらつかせる。
喉の奥からひきつれた息をもらし、ファルクはそれを返せと両手を伸ばしてくる。
その手に小瓶を乗せ、一本一本指を曲げしっかりと瓶を握らせた。
「約束通り、返した」
「は……」
「それと、俺の質問に答えろ」
手の中の瓶から視線を外し、ファルクはそろりと顔を上げる。
「くそ、身体が思うように、動かない、ぞ。目眩が。何……をし……た。この私に、何のどくを……」
徐々にファルクのろれつが回らなくなってきた。
うまく言葉を発することができず、もどかしげに口をぱくぱくとさせ、麻痺した舌を何度も噛む。
足音一つ立てずに馬車から降り立ったハルは、ファルクの側に寄り片膝をついた。
「おまえは……なぜ……へい……き……」
だらしがなく開いたファルクの口から涎がつっと垂れ落ちる。
だが、自分が涎を垂らしていることすらファルクは気づいていない。
それどころか、目の前に立つハルを瞳に映していながらも、その目はどこか虚ろであった。
「これを、貴様に返すと約束したな」
ファルクの眼前に、例の小瓶をゆらゆらと揺すってちらつかせる。
喉の奥からひきつれた息をもらし、ファルクはそれを返せと両手を伸ばしてくる。
その手に小瓶を乗せ、一本一本指を曲げしっかりと瓶を握らせた。
「約束通り、返した」
「は……」
「それと、俺の質問に答えろ」
手の中の瓶から視線を外し、ファルクはそろりと顔を上げる。

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