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令嬢は元暗殺者に恋をする
第81章 離さない、離れない
「ハル、泣いているの……?」
「どうしても……!」
振り絞る声を出すハルの頬に再び涙が伝う。
「……アイザカーンの暗殺者を生かすわけにはいかなかった。だけど、これだけのことをして、レザンの組織にばれないはずがない! 奴らは必ず俺を探しにやってくる。必ず……もう、逃げ切れない。その時、サラが俺の側にいたらどうなるか……サラを巻き込んでしまう。危険な目にあわせてしまう! だから! もうサラとは一緒にはいられない」
サラは驚いたというように目を丸くし、そして、口許に手を持っていきくすくすと笑った。
「ハルがこんなに感情的になって声を荒げたのを初めて見たわ」
そして、サラの手がハルの握っていた剣に近づく。
「触れてもいい?」
遠慮がちに訊ねてくるサラに、ハルは小さくうなずく。
「ねえ、ハルがいなくなってしまったら、困る人がもう一人いるのでしょう?」
サラがおそるおそる手に触れたのは、剣に括りつけられた真紅の飾り紐であった。
「ハルのほんとうの気持ちを私に聞かせて?」
伸ばしてきたサラの両手がハルの頬に添えられる。
「……サラと離れたくない」
サラはふわりと微笑んだ。
顔を上げたハルの双眸から、再び涙がこぼれ頬を濡らした。
「どうしても……!」
振り絞る声を出すハルの頬に再び涙が伝う。
「……アイザカーンの暗殺者を生かすわけにはいかなかった。だけど、これだけのことをして、レザンの組織にばれないはずがない! 奴らは必ず俺を探しにやってくる。必ず……もう、逃げ切れない。その時、サラが俺の側にいたらどうなるか……サラを巻き込んでしまう。危険な目にあわせてしまう! だから! もうサラとは一緒にはいられない」
サラは驚いたというように目を丸くし、そして、口許に手を持っていきくすくすと笑った。
「ハルがこんなに感情的になって声を荒げたのを初めて見たわ」
そして、サラの手がハルの握っていた剣に近づく。
「触れてもいい?」
遠慮がちに訊ねてくるサラに、ハルは小さくうなずく。
「ねえ、ハルがいなくなってしまったら、困る人がもう一人いるのでしょう?」
サラがおそるおそる手に触れたのは、剣に括りつけられた真紅の飾り紐であった。
「ハルのほんとうの気持ちを私に聞かせて?」
伸ばしてきたサラの両手がハルの頬に添えられる。
「……サラと離れたくない」
サラはふわりと微笑んだ。
顔を上げたハルの双眸から、再び涙がこぼれ頬を濡らした。

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