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令嬢は元暗殺者に恋をする
第83章 王女アリシア
「そろそろ帰るよ」
「ハル」
背中を向け窓に向かって歩き出したハルを……どうやら、ここでもハルは窓から出入りをしているらしい、アリシアは呼び止める。
ハルは肩越しに振り返った。
その肩に夕陽の光が差す。
「最後にひとつ聞いていいだろうか」
アリシアは眩しそうに目を細めてハルを見る。
「これは、ただの私個人の興味だ。答えたくなければいい」
「何だろうか? 俺に答えられることなら何でも」
そして、視線をハルからほんの少しそらし、言いずらそうにするアリシアの頬が赤く見えるのは夕陽だけのせいではないはず。
「……ハルがサラを好きになった理由を、教えてははくれないだろうか」
一瞬の沈黙。
ハルは口許に笑みを刻む。
「あんなにしつこいくらい好きだと何度も言われたのは初めてだったから。だから……」
アリシアはそれで? と小首を傾げる。
「堕とされてしまったよ」
アリシアはくすぐったそうに笑った。
その笑みは年相応の少女の笑みであった。
アリシアはそっと両手を胸にあてた。
「羨ましいな。私もいつかそんな恋をしてみたいものだ。それに、ハルがそんなふうに笑うのを初めて見たぞ」
「そうだったか?」
ハルは戯けた仕草で肩をすくめた。
「ハル」
背中を向け窓に向かって歩き出したハルを……どうやら、ここでもハルは窓から出入りをしているらしい、アリシアは呼び止める。
ハルは肩越しに振り返った。
その肩に夕陽の光が差す。
「最後にひとつ聞いていいだろうか」
アリシアは眩しそうに目を細めてハルを見る。
「これは、ただの私個人の興味だ。答えたくなければいい」
「何だろうか? 俺に答えられることなら何でも」
そして、視線をハルからほんの少しそらし、言いずらそうにするアリシアの頬が赤く見えるのは夕陽だけのせいではないはず。
「……ハルがサラを好きになった理由を、教えてははくれないだろうか」
一瞬の沈黙。
ハルは口許に笑みを刻む。
「あんなにしつこいくらい好きだと何度も言われたのは初めてだったから。だから……」
アリシアはそれで? と小首を傾げる。
「堕とされてしまったよ」
アリシアはくすぐったそうに笑った。
その笑みは年相応の少女の笑みであった。
アリシアはそっと両手を胸にあてた。
「羨ましいな。私もいつかそんな恋をしてみたいものだ。それに、ハルがそんなふうに笑うのを初めて見たぞ」
「そうだったか?」
ハルは戯けた仕草で肩をすくめた。

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