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令嬢は元暗殺者に恋をする
第84章 暗殺組織レザン・パリュー
「白天やめるんだ」

 先ほど炎天を止めた男が今度は銀髪の少年を止める。

「僕を止めさせたいならこいつを説得しな」

 炎天から視線をそらさずに少年は言う。

 炎天はふん、と忌々しげに顔を歪め、つかまれた少年の手を乱暴に振り払う。

「ふん、まあいい。どのみちハルを捕まえればすべてがわかることだ。奴を拷問にかけ三年前、組織を抜けた時のことを洗いざらい吐かせてやる。レイ、貴様を殺すのはそれからでも遅くはない。奴の目の前で貴様を殺してやるよ」

 炎天はくつくつと肩を揺らして笑い、大きく右手を払いみなに言い聞かせるように声を上げる。

「ハルを組織に連れ戻す!」

 それに対し、反対する者はいなかった。

「それと、ハルとかかわりのあるトランティアの小娘も一緒に連れて来い」

「その子は関係ないんじゃないの? あまり、無関係な人間を巻き込むことに僕は反対だね。それに、サラって子はトランティア家の唯一の跡継ぎでしょ? その子が行方不明ってことになると、いろいろ組織にとっても面倒くさいことになるよ」

「おまえは黙っていろ。関係ないかどうかは小娘に会ってから俺が決める」

「なら、僕が行くよ」

「おまえがだと?」

「そう、もし、ハルが生きているなら僕が連れ戻す。おまえや、おまえの配下の人間じゃ、ハルを捕らえるなんて無理。返り討ちにあうだけだからね。おまえも無駄死にしたくないでしょ?」
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