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令嬢は元暗殺者に恋をする
第88章 あなたの瞳におちて -終- ※
 好き。
 愛してる。

 それらの言葉は、熱い吐息とすすり泣きにも似た喘ぎにまぎれて溶け、もはや声にはならない。
 それでも、思いを伝えようと戦慄く唇にハルの唇が重なり何もかも塞がれてしまった。
 指と指の間に花芽を挟まれ、手を揺らすように左右に震わせる。

「や……ああっ!」

 だ、だめ……そんなふうにされたら……すぐに……。
 つま先と下腹部に力を入れ息をつめる。
 啼き叫ぶ身体が一点の高みを目指して緩やかにけれど、確実に走り始める。

 どうすれば、その先を得ることができるのか、ハルによって何度も身体に教え込まれた。

 今まさに、自分が昇りつめようとしていることは承知だとばかりにハルの指がサラを頂点へと導いていく。

「あ……ぁぁ───っ…………」

 背中を反らせ、ハルの指によって与えられる高みに到達する。
 身体中がひくひくと痙攣した。
 荒い息をこぼしながら、高みから緩やかに落ちてくる身体をハルは抱きしめてくれた。

 髪を撫でられ、こめかみに、ひたいに口づけをされ、愛しい人の腕に抱かれる幸福感に安堵する。

 汗ばむひたいに張りついた前髪をハルの指先がそっと払う。
 ゆっくりと目を開けると、笑みを浮かべて自分を見守るように見つめてくるハルのきれいな顔。

 耳元で、次は舌で気持ちよくしてあげる、という声を頭の隅で聞く。
 ハルの手によって脚を立てられる。
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