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令嬢は元暗殺者に恋をする
第8章 突然の別れ
「行くのか?」
言葉もなく、立ち去ろうとするハルの背中に向かいテオは声をかけた。
ハルはゆっくりと肩越しに振り返り、口許に薄い笑いを刻むだけであった。
別れの言葉も、礼の言葉もない。けれど、それが彼らしいとテオは思った。
結局、この少年が何者であったのか謎のままだが、どのみち、尋ねたところで素直に答えるはずはない。
きっと、テオが想像している以上に、この少年は深い闇をその胸に抱えているのだろう。
「サラには言ったのか?」
やはりそれにも答えず、ハルは背を向け歩き出したその時、突然診療所の扉が勢いよく開け放たれ、ひとりの少年が中へと飛び込んできた。
その突然の闖入者は、目の前のハルの姿を見つけるなり嬉しそうに目を輝かせ、抱きついた。
「ハル! 探したんだぞ!」
「シン!」
シンと呼ばれた少年は、嬉々とした声を上げハルをいっそう強く抱きしめた。
「もう、心配させやがって! このこの」
締めつける相手の手から逃れようと必死にもがくハルであったが、どうやらかなわないらしい。
言葉もなく、立ち去ろうとするハルの背中に向かいテオは声をかけた。
ハルはゆっくりと肩越しに振り返り、口許に薄い笑いを刻むだけであった。
別れの言葉も、礼の言葉もない。けれど、それが彼らしいとテオは思った。
結局、この少年が何者であったのか謎のままだが、どのみち、尋ねたところで素直に答えるはずはない。
きっと、テオが想像している以上に、この少年は深い闇をその胸に抱えているのだろう。
「サラには言ったのか?」
やはりそれにも答えず、ハルは背を向け歩き出したその時、突然診療所の扉が勢いよく開け放たれ、ひとりの少年が中へと飛び込んできた。
その突然の闖入者は、目の前のハルの姿を見つけるなり嬉しそうに目を輝かせ、抱きついた。
「ハル! 探したんだぞ!」
「シン!」
シンと呼ばれた少年は、嬉々とした声を上げハルをいっそう強く抱きしめた。
「もう、心配させやがって! このこの」
締めつける相手の手から逃れようと必死にもがくハルであったが、どうやらかなわないらしい。

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