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第11章 日常

今までだって、優輝くんのお店はそれなりに繁盛してたみたい。

と、いうのも、優輝くんのお母さんのお得意様が来てくれてるからだって言ってた。

優輝くんのお母さんも美容師さんだった。優輝くんが小さい頃からずっと美容師さんで頑張っていたんだけど、優輝くんの前のお父さん、（要さん）が脱サラして、家計は火の車になったんだって。要さんは要さんで考えがあってそうしたんだけど、お母さんには伝わらなかったみたいで、離婚になったらしい。

お母さんとしては、せめて優輝くんが高校卒業するまで仕事は辞めないでいてほしかったらしいんだけど、要さんは利子が低い時期を狙って辞めたらしい。

要さんと光さんの話を聞くと、そんな感じだった。

お店が大変なときに泰平さんが精神的にも金銭的にも助けてくれて、再婚したんだって。

人生いろいろあるけれど、離婚て、大変だよなーなんて、今までは他人事だったけど、いざ自分が同じフィールドに立ってるのかと思うと、そんな大したことなかったなー……て。

私の場合も優輝くんの場合も、かなりの円満離婚だったよなって思った。

と、言うのも、子どもたちが同じ保育園でママ友の真希ちゃんは、不倫した挙句、夫との性の不一致で離婚を持ちかけたんだけど、夫は全く理解してくれず、子どもは真希ちゃんが育てたいって言ったけど、聞き入れてもらえず、子どもと引き離され、外から見たら真希ちゃんが夜逃げしたみたいになっちゃって、ドロ沼らしい。

そんなことにならなくて本当に良かった！

私だって、どこかで歯車が狂っていたら、今、こんな穏やかな気持ちで居られなかったと思う。

そんなことを雑誌を片付けながら考えていた。