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あの頃に戻って……
第11章 日常
すぐにお客さまが来て、驚いた!

「いらっしゃいませ。」

優輝くんが、笑顔で対応する。

「三木さん、お久しぶりですね。今日はカットと伺っていますが、どのようにいたしますか?」

もぉ…優輝くんたら、見られたらどうするのよ。恥ずかしいなぁ。

私は服や髪の乱れをサッと直して、雑誌を適当に数冊置いて、そそくさと家に入った。

カットだけなら、そんなに時間はかからないわね。

今のうちに次のお客さまの準備もしておこう。

次のお客さまは、花嫁さん。

式場と提携して、式場が送迎してくれるようになってる。

とはいえ、とても近いのだけど。

ここのお得意様が結婚するということで、式場に頼んでくれたらしい。

だから、ブライダルの雑誌を取り寄せた。

私がさっき見ていたのはそれ。

雑誌ってだけなのに、ウキウキワクワクさせられるなんて、私にもまだ、こういうドレスを着たいって気持ちがあったってことなのね、きっと。

我慢しなきゃ。

私は預かっていたティアラと生花を用意しながら、我慢我慢と言い聞かせてた。

近くの結婚式場は一日に4組限定。と、いうのも、大小の異なる教会と披露宴会場が2つずつあるから、4組なんだそう。

大きなホテルとかだと他の花嫁さんとばったり!なんてことがないようになってるんだとか。

そんな心遣い、ステキよね。

三木さんのカット、そろそろ終わる頃かしら。

お茶はあとから選べるので、お菓子だけ用意して、運んだ。

「お飲み物は何がよろしいですか?」

私がそう尋ねると、

「ありがとう。緑茶でお願い。あなたが評判のお嫁さんね?」

三木さんにそう言われて、

「え?」

聞き返す。

「美都さんて言うんでしょ?あなた、評判良いわよ。前の奥さんなんて見たことなかったわ。私はね、この辺りじゃ結構名の知れた占い師だったのよ。あなたとオーナー、すごく良い星巡りの時期なのよ!あなたが思うようになるはずよ。思いを込めれば込めるほど、叶うわよ。」

なんて言われて嬉しくなった。
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