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あの頃に戻って……
第11章 日常
三木さんが帰られたあと、花嫁の田中さんが来た。

まず、ドレスに着替えてもらい、椅子に座ってもらう。

優輝くんが着々と髪を結んでいく。

優輝くんの手って、魔法使いの手みたい。

私は優輝くんがセットしていく姿を見ていた。

「良い天気で良かったですね。」

時折話しかけて、

「えぇ。オーナーも、良いヒト見つけたんだ?」

なんてからかわれて、

「まだ籍は入れられないんですけどね。」

真面目に答えて、

「お互い再婚なの?」

細かいことまで聞かれて、

「そうなんですよ。」

ちゃんと答えたら、

「女性は離婚後180日経たないと再婚できないんだったよね?でもさー、それっておかしくない?男は期日ないなんて変だよね。」

なんて急に法律の話まで出て来て…

優輝くんとお客様の話を聞いてると、面白い。

「式は挙げないの?」

なんて田中さんが私の中で一番旬なことを聞いてくれる。

「美都と考えて行きますよ。」

‼︎‼︎!

考えて行く?

「奥さんだって、式、挙げたいはずよ。」

田中さん、ナイスです!

「ねえ?奥さん?」

奥さん!

私か。

呼ばれ慣れてないから、ピンとこなかった!

「あ……でも…もう、30代になっちゃうし。」

よく分からない言い訳をする。

もちろん、照れ隠し。

「まだまだキレイじゃん。女は30代から輝くんだって!オーナーも、もっとキレイな奥さん見たいんじゃない?」

なんて、意地悪そうにニヤニヤ笑う、田中さん。

「……いやー……ハハハ。」

と、急に誤魔化す。

もう!肝心なところ、聞かせてくれないんだから。

なんて思いながら、飲み物を聞く。

相手は花嫁さん。

ストローで飲める物にした。

カップも蓋ができるのにした。

お菓子も飴にした。

万が一にでもウェディングドレスを汚すわけにはいかないからね。
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