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あの頃に戻って……
第16章 門出
要さんの気持ち、嬉しいのに、まだ体調が悪い。

私はその場にしゃがみ込んでしまった。

「美都?大丈夫?」

優輝くんが心配そうに覗き込む。

「ごめんなさい、要さん。要さんのお気持ち、とても嬉しいです。本当にありがとうございます。」

そう伝えた。

笑顔で聞いてくれて、

「優輝、明日も美都さん、調子悪そうだったら、なるべく座る時間を増やそう。」

そう提案までしてくれた。

とりあえず、ソファーに運んでくれて、

「美都、明日、倒れそうになる前に言ってね?」

「うん。大事な日なのに、心配かけてごめんなさい。」

シュンとする。

「心配するのなんか当たり前だよ。気にしなくて良いから。体調が第一だから。」

「うん……」

部屋に戻るのも大変だろうって、要さんが車椅子を用意してくれた。

優輝くんが押して、部屋に戻った。

部屋に戻るや否や、私はトイレでまた吐いた。

「大丈夫?美都…。病院行く?」

「……んー……今から?」

「うん。」

そんな話を要さんに相談したら、ちょうどお客様でお得意さまがお医者さまだからって、部屋によこしてくれた。

お医者さまは、私たちの町の病院にお勤めの方とわかって、なんだか親近感が湧いた。

佐藤涼馬先生。45歳。専門は生殖医療。

「じゃあ、問診させてね?」

そう言われて、聞かれたことに答える。
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