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あの頃に戻って……
第16章 門出
いつからどんな症状なのか?

どんなときに気持ち悪くなって吐いてしまうのか?

最終月経はいつか?

最後の質問にハッとした。

「そういえば先月、生理こなかった…?ん?まだきてない。」

「遅れてどれくらい?」

「えっと……三週間…かな?」

「もしかしたら妊娠してるんじゃないんですか?」

そう言われて、初めて気がつく。

「そうかもしれない。」

「俺、検査薬買ってくる!」

現実を早く確かめたい気持ちは優輝くんも同じようで、そう言って出て行った。

あんなに慌てた優輝くん、初めて見た。

「先生、明日、私、結婚式なんです。もしツワリだとして、式の最中に気持ち悪くて吐きたくなったら…と思うと心配です。」

自分の気持ちを打ち明ける。

「そうですねぇ。まだ初期でしょうから、ツワリだとしても早いですし……あんまり立ったり座ったりしない、お腹は締め付けない、水分をよく摂るように心がける、吐いても良いように何か用意しといてもらう…くらいですかね?対策としては。」

アドバイスを受けて、安心する。

「分かりました。」

「体重は減ってませんか?」

「この三週間で3キロ減りました。」

「式が終わったら一度きちんとみてもらってください。あんまり減ってしまうようでしたら点滴しないとですよ。」

「はい。」

そんな話をしているところに、優輝くんが帰ってきた。

「ただいま!美都、買ってきたよ。」

「おかえりなさい。ありがとう。試してくるね?」

「うん。」

トイレで検査薬を使う。

蓋をして、数分間待つ。

たった数分なのに、ドキドキする。

「美都、陽性のところに線が出てきたよ!」

「あ、本当だ。本当に?本当に赤ちゃん…いるんだね?」

嬉しくて涙が出る。

「エコーなどの検査をしてみないと確定ではありませんが、ほぼ間違いなく、ご懐妊でしょう。おめでとうございます。」

先生に言われるとなおさら信憑性が増す。

「やったーーー!美都、やったな!めちゃくちゃ嬉しい!」

飛び跳ねて喜ぶ優輝くん。

「うん!うん!優輝くん!私も嬉しい!」

「美都、無理しちゃダメだぞ?大事な時期なんだから。あ、先生、予定日ってだいたい分かりますか?」

「え?えーーーっとですねぇ……多少のズレはあるかと思いますが……」

そう言って計算してくれる、先生。
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