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あの頃に戻って……
第6章 運命
「美都……」

零れる涙を優しく拭ってくれる。

「優輝くん……ッ!」

「抱きしめても……良い?」

ドキンッ!!!

抱きしめられたい!

「う、ん」

頷くとすぐに、

ギュッ……て力強く抱きしめてくれた。

ドキドキドキドキ……

ずっとこうしたかった……

優輝くんの背中に腕を回す。

涙を堪える。

「美都……ずっとこうしたかった……」

優輝くんが言うから、涙がまた溢れた。

「嬉しい……ッ!メイク……落ちちゃう……」

また涙を拭ってくれる。

「シャワー浴びてくる?」

ドキドキドキドキ……緊張する。

「あ…………うん。」

「先にどうぞ?」

「う、うん。」

「バスローブあるよ。」

「ありがと……。」

これから……何をするのか……分かる。

子どもじゃないんだから……

ホテルの備品でメイクを落とし、洗顔を済ませる。

たった1日で15年分の距離が一気に……縮まる。

中2の春……好きになって、どんどんどんどん好きになっていく気持ちをもて余してた。

何かする度に目で追いかけてた。

心の中で何度呼び掛けたか……

そう!呼び掛けて、目が合うか合わないか……なんて願掛けみたいなことやってた。

いろいろな淡い思い出が甦る。

それにしても、ここのホテルのバスルームなんでドア、ガラス張りなの?!

恥ずかしい。

そう思いながらシャワーを浴びてると……

パタン……

え?

扉が開いた!

「優輝くん!ダメッ!」

そう言ったんだけど……

「なに?」

と言って、脱衣室に入ってきた!

「おわっ!ガラス張り!」

身体を湯船で隠す。

そして、さっと脱いで、

「俺も、入る!」

と言って、入ってきた!

「やだぁ!!!ダメ……」

恥ずかしくてタオルを湯船に沈めて身体を隠す。
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