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第9章 旅行

私たちは手を繋いで、日本庭園をゆっくり歩いた。

従業員の方が、

「いらっしゃいませ。優輝さま。今年も来てくださってありがとうございます。」

と、丁寧に挨拶をした。

ん？優輝さま？

普通、苗字で呼ばない？

「今年も来ましたよ。」

優輝くんが照れたように伝える。

「優輝さまがお連れさまを連れていらっしゃるのは初めてですね。」

「そうだね。」

そう答えるともっと照れた。

「社長にはお会いになられたのですか？」

「いや。まだ。あとで社長室に行くって伝えてくれる？こちらの女性も一緒に。」

社長さんと知り合いなの？

「はい。きちんとお伝えしておきます。」

ペコッと頭を下げて、失礼します、そう言って、従業員の方は去っていった。

「優輝くんて、ここの社長さんと知り合いなの？」

私は思ったことを尋ねた。

「まぁね。俺の本当の父親が経営してるんだ。」

「え？本当の父親？」

「そ。母さんの最初の旦那だった人。今の父さんは母さんの再婚相手なんだ。」

「あぁ、そうだったの！」

「会ってくれる？」

「もちろんよ。会わないわけないじゃない。」

日本庭園のベンチに座り、池の鯉に餌をやる。

「ありがとう、美都。」

優輝くんのお父さん、どんな人なんだろ？！

楽しみだなー。