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あの頃に戻って……
第9章 旅行

散歩を終えて部屋へ入る。
二人で社長室に向かう。
エレベーターを乗り継いで、別の建物へ。
「父さん、入るよ?」
ノックをして優輝くんが伝える。
「どうぞ。」
中から声がした。
「失礼します。」
私の挨拶を待ってから優輝くんがドアを開けた。
「父さん、久しぶり。元気?」
「あぁ、元気だよ。優輝も元気そうだね?」
「あぁ、元気だよ!父さんに紹介したい人ができたんだ。」
「そうか!おまえ、結婚したのに紹介したくないって言って会わせてくれなかったもんな。今度は違うんだ?」
「うん。父さんに紹介したい。美都?」
優輝くんの陰に隠れていた。
「はい。初めまして、原野美都です。」
そう言ってご挨拶をすると、
「初めまして!湯本要です。優輝…ベッピンさんだなぁ。おまえ、面食いだったんだ?」
優輝くん、お父さん、そっくり!
数十年後を容易に想像できるわ。
「ん?あれー?何か思い出しそうだな。……あんた、優輝と同級生かい?」
「そうです。」
そう言うと、お父さんは本棚からアルバムを取り出した。
「この子?」
古いアルバム!中学の時の、修学旅行!
集合写真の一番上の真ん中にいる私を指差す。
「そうです。」
「やっぱりか!いやー、優輝が16んときだったな。こいつの母さんと離婚して、俺はこの旅館の経営を始めたんだ。別れて一年、何の音沙汰もなかったんだが、18のときに初めて遊びに来たいって言って来てね。それから毎年一人で遊びに来るようになったんだが、そのきっかけが、君と会えなくなってから、想いを募らせて一人になりたくて来るようになったんだよ。」
なんて……言う。
「え?」
「言うかな?普通、そーゆーこと。」
優輝くんが真っ赤になって視線を反らす。
ドキドキ……ドキドキ……
「結婚しても一人で来るのは変わらなくて、子ども産まれても同じだった。孫に会いたいから連れて来いって言っても、ここに来るのは考えたい人がいるからだからって家族とは来れないって断られてさ。俺から会いにはなかなか行けないからね。」
優輝くんの照れた表情なんて御構い無しにお父さんは続ける。
二人で社長室に向かう。
エレベーターを乗り継いで、別の建物へ。
「父さん、入るよ?」
ノックをして優輝くんが伝える。
「どうぞ。」
中から声がした。
「失礼します。」
私の挨拶を待ってから優輝くんがドアを開けた。
「父さん、久しぶり。元気?」
「あぁ、元気だよ。優輝も元気そうだね?」
「あぁ、元気だよ!父さんに紹介したい人ができたんだ。」
「そうか!おまえ、結婚したのに紹介したくないって言って会わせてくれなかったもんな。今度は違うんだ?」
「うん。父さんに紹介したい。美都?」
優輝くんの陰に隠れていた。
「はい。初めまして、原野美都です。」
そう言ってご挨拶をすると、
「初めまして!湯本要です。優輝…ベッピンさんだなぁ。おまえ、面食いだったんだ?」
優輝くん、お父さん、そっくり!
数十年後を容易に想像できるわ。
「ん?あれー?何か思い出しそうだな。……あんた、優輝と同級生かい?」
「そうです。」
そう言うと、お父さんは本棚からアルバムを取り出した。
「この子?」
古いアルバム!中学の時の、修学旅行!
集合写真の一番上の真ん中にいる私を指差す。
「そうです。」
「やっぱりか!いやー、優輝が16んときだったな。こいつの母さんと離婚して、俺はこの旅館の経営を始めたんだ。別れて一年、何の音沙汰もなかったんだが、18のときに初めて遊びに来たいって言って来てね。それから毎年一人で遊びに来るようになったんだが、そのきっかけが、君と会えなくなってから、想いを募らせて一人になりたくて来るようになったんだよ。」
なんて……言う。
「え?」
「言うかな?普通、そーゆーこと。」
優輝くんが真っ赤になって視線を反らす。
ドキドキ……ドキドキ……
「結婚しても一人で来るのは変わらなくて、子ども産まれても同じだった。孫に会いたいから連れて来いって言っても、ここに来るのは考えたい人がいるからだからって家族とは来れないって断られてさ。俺から会いにはなかなか行けないからね。」
優輝くんの照れた表情なんて御構い無しにお父さんは続ける。

