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−紅の雫−
第1章 −勝利の影で−
アレンは何を言っているのか
理解出来ずにいた。

そんな狂気な愛が存在する事すら
理解が出来ない。

嫌…そもそも愛と呼べるのだろうか。

好きな相手を傷つけ
更に傷ついた相手から犯されたい…と。

互いに血を流す為に
私に刺せと……。


【猟奇的愛情表現】


きっとこれを表すとしたら
こう言う言葉なのだろう。


「……ウィル…貴方は…」


アレンはこの先の言葉を飲み込んだ。


(狂っている)


そう言おうかと思った。
けれど果たして本当にそうなのだろうか。

アレンの言葉を待っているのか
ウィルは微動打にせず見つめている。

アレンは一旦息を吸いこむと
言葉を選びながら話した。

なるべく傷つけない様に
なるべく興奮させないように……


「……貴方は…間違ってはいない。けれど…その重すぎる愛を……少しは宥めて頂けないものか…。」


ウィルの様子を伺うと
至って穏やかな表情を見せていた。

アレンは少し安堵する。

しかし次のウィルの言葉で
アレンは愕然とした。


「…僕は……狂っている。そんな事は己で感じている。閉ざされた夢…叶うはずのない愛に……僕はどれ程苦しめばいい??!…戦争は反対だった。それは本当です。しかし今貴方と出会えて…僕は………これで良かったのだと感じています。」


ウィルの頬に雫が流れ落ちる。

口調は変わったものの
狂気な愛は……容易く変わるものではなかった。
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