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向日葵
第10章 人妻の彼女
 「初めて、男のペニスが身体に入った時、とてつもない嫌悪感を感じたわ。
あんなモノがアソコに入って、行ったり来たりを繰り返して…
肉棒とすみれは言ったけど、私には異物に感じたわ。
要らないモノが身体を抉り開けて、大事なものまで奪って、穢れた気持ちにすらなった。

 ーーまさに、醜いペニスだったーー

 身体を夫に預けるのは、夫婦の当然の営みと言い聞かせた。
この儀式を受け入れなきゃいけないって……

 夫は、私の中にドロドロとした生臭い液を吐き出したわ。
レイプじゃないのに……同意の上の事なのに屈辱的な気持ちにもなった。

 すぐに、バスルームに飛んで行って洗い流した。
何度も何度もシャワーをかけて精液を洗い流した。
石鹸で匂いも消そうとした。

 でも、気休めね…

 そんな事をしても消えない……

 求められたら、コレを続けてゆく事に絶望すら感じた。

 死にたくなった。

 バスルームから戻ると夫は鼾をかいて寝ていたわ。

 憎いと思った。

 悪い事なんてしてない夫を憎らしいと思った。

 絶望の中ですみれにメールを打ったわ。

 もしも、すみれが返事をくれていたら……

 逃げちゃったかも…

 何もかも捨てて、すみれに逃げたよ」


 葉月の言葉が切なくて、あの時の自分を悔いた。
悔いても時は戻らない。

 もし、返信していても、現実を変えるまでの決意がついたのだろうか?

 時に人は自分に酔って、不可能な言葉すらも口にして、愛を確認してしまう弱き生き物。

 弱さを隠す為の格好いい愛の言葉に惑わされたくもなる。
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