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向日葵
第11章 想い愛
 「読ませて頂きました。
非常にリアリティーのあるお話で、猫先生は本当にレズビアンではないかと思わせる様な衝撃を受けています」

 葉月…
貴女だけに書いたつもりが、いつしか人の目に触れていたわ。

 「かもしれませんよ?」

 「まさか……本当なんですか?先生」   

  目の前の江添(えぞえ)は一瞬驚き、興味津々で聞いてきた。

 「まぁ、それは江添さんのご想像に任せますね」

 私の担当になった編集者の江添環(えぞえたまき)は否定も肯定もせずに笑った。

 「そうですか……
それは私の解釈次第という事ですね!

 私が物語を読む時、書いてらっしゃる作家さんを想像しながら読んだりもします。

 リアリティーを感じるって凄い事なんですよね。
小説は読者に夢や希望、登場人物に感情移入出来る、または疑似体験をさせてくれる書物と考えます。
それが出来る書に魅力を感じますよ」

 私の担当になった編集部の江添はそう言ってくれた。

 私がネット上に公開していた小説【醜い、ペニス】に新たな息を吹きかけ、【Court】というタイトルに変えて、葉月との切ない恋をフィクションで描いた。
その小説が、外川出版(とがわしゅっぱん)のたまたま江添の目に止まり、出版化のオファーを頂いた。

 私は仕事を辞め、本の出版へ向けて全力を注いだ。
無我夢中で期日までの改稿に専念した。


 何度か、江添にダメ出しをされた箇所もあったが、今日はラストまで読んで貰いにこやかな笑顔を見せた。

 江添は年齢的には三十半ばくらいで、いつもピシッとしたスーツ姿に黒縁眼鏡の薄化粧。
文学少女だった様な人相をしている。
仕事には厳しく、同僚からは江添女史と呼ばれているみたいだ。
今回、私の作品が江添女史の目に留まり夢を叶える事が出来た。

 勿論、葉月との約束は最高な形で果たす事が出来た。



 
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