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龍、人生の絆
第3章 心に住む魔物
「本当にごめんなさい。
私、なんて事を…
魔が差したんです。
本当にごめんなさい…」
泣きながら弁明するルナを横目に
龍は冷蔵庫から
日本酒とお猪口を取り出し
お猪口に半分日本酒を注いだ。
それをルナに差し出し
「まずはこれを飲みなさい。」
飲むように勧めルナも頷きながら
それを飲み干した。
高いアルコールがルナの胃の中に
熱く流れ込んでいく。
やがてそれはルナの
気持ちを落ち着かせた。
気持ちが落ち着いてくるとルナは
今自分がとんでもない事を、
取り返しがつかない事を
しでかしたと改めて実感し
絶望の淵に立っていた。
「私もこれで終わりかな?」
そんな事を考えて
うな垂れているルナに向かって
「落ち着いたかな?」
「うん…」
「何であんな事をしたのかな?」
「… … …」
「黙っていては
分からないだろう?
正直に言ってご覧…」
「魔が差したんです。
お財布の中に
お札の束があって…
明後日まで
どうしてもお金が必要で…
気が付いたらお財布から
お金を抜いていたんです。
その時は少し位なら
無くなっていても
すぐには気が付かないだろうって…
本当にごめんなさい。
私、取り返しの
つかない事をしてしまった!」