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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第8章 痴漢編 2-1
瑠璃は乗るだけで、もみくちゃにされ、せーラー服
がしわになってしまい、一気に気分が落ち込んだ。
さらに、身体のあちこちを手で撫でられるように触
られた気がする。
気のせいかも知れなかったが、瑠璃は周囲を警戒し
身体を緊張させた。
押し込まれた角に背を向けて、あえて車両の中を向
き、顔を上げて俯かない様に注意する。

前回痴漢をされてからネットで調べた、痴漢されな
い為の工夫、として載っていた方法だった。

幸い、瑠璃の周囲の人達は皆、瑠璃に背を向けてい
る。この状態なら触られることはなさそうで、内心
ホッとすると、今度は奈菜の事が気がかりになって
きた。

ただ、周りは背の高い男性客ばかりで、確認するこ
となどできずに、どこに乗っているのか分からない
状態だった。
私もしっかりと手を握ってあげればよかったのに、
と後悔したが、またホームで会えるからと、気を取
り直した。


電車が動き出した。
少しだけ後ろに体重を掛け、瑠璃はバランスを取っ
たが、目の前にいた乗客たちに押される形で角の壁
に押し付けられてしまった。
それは偶然ではなく、目的を持って行動しているこ
とを瑠璃は瞬時に悟った。

慌ててその場所から離れようとするが、元々車内は
満員で動けるスペースなど空いていない上に、何人
かに身体を使って押えられると、逃げることなどで
きなかった。

やだ、やだ!

必死に叫ぼうとするが、声が出てくれない。
独り言のように小さな声が、自分の耳に聞こえて来
るだけだった。

いつの間にか瑠璃の周りの男たちは向きを変え、取
り囲みながら、ぎらつかせた目を向けていた。

一瞬その男たちを見てしまった瑠璃は、恐怖から俯
いてしまい、そんな瑠璃の左手からは無理矢理バッ
クが奪われてしまう。
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