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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第9章 盗撮 編 3-1 コスプレ
見つめ出してからすぐに、彼女とまた目が合った。
しかし視線が合ってから、彼女から目を逸らし雑誌を読むふりをする。
更に頬が赤くなってくる。

俺を意識して赤くなっているのか?・・・
いや、それはないな・・・

大石は自信は無く、色々な意味で不安もあったが、声をかけてみようか、と、そんな気になってきた。
そして思い切って優しく話し掛けてみた。

「あの・・・ちょっと話を聞いてほし、あっ待って」

大石が最後まで言い終える前に、視線が一度合っただけで、彼女は逃げる様にそこから立ち去ってしまう。
一度も振り返ることなく書店から出ていく彼女の背中を見続けながら、大石は落胆と安堵の混じった溜息をついていた。

ナンパと間違えられたかなぁ・・・
モデルになってください、って頼むのも同じようなものかもしれないけど・・・

今までの声掛けで、何回か失敗したことを思い出した。
「話さえ聞いてもらえれば何とかなるんだけど・・・まっこんなもんだよなぁ・・・」
苦笑いを浮かべてから、また溜息をついた。

毎月読んでいるカメラ雑誌を購入して店を出た大石は、気持ちの切り替えは出来ていても、彼女の頬を染めた恥ずかしそうな表情だけが忘れられなかった。

どんな意味があるんだろう・・・

もう会うことは無いだろう、そう思うと余計に気になって仕方が無かった。
考えても分からないのは分かっていても、歩きながらあれこれ考えていた大石は、急に後ろから声をかけられて振り向いた。

「えっ! あ ・・・」

そこには、大石の前から逃げ去ったあの美少女が、キリッとした涼しげな表情で、姿勢よく立っていた。

突然の再開に動揺してしまった大石は、何を話せばいいのか浮かばないまま、口ごもってしまう。

静かに見つめているだけでも、少女の視線は綺麗な瞳から何か発しているように圧力を感じ、今度は大石が視線を合わせられないでいた。

彼女が口を開いた。

「本屋さんの中で、私の写真を撮っていたよね」
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