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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第12章 イチャラブ 編 1-1
「気分が悪いのか?顔色が良くないぞ!・・・病院へ行った方が良いんじゃ・・・」

彼が心配するのは無理も無いと思ったが、今は早くこの場から離れたかった。
またあの男が戻ってきたら、と考えると恐怖心で動けなくなりそうな気がした。
呼吸が落ち着いてきたところで、急かす様に言った。

「出よう。外に出ようよ、お願い!・・・」
「お、おう。それは良いけど・・・歩ける?」

心配そうな顔をしている彼に、ごめんなさい、大丈夫だから、とだけ告げるが、歩き出してみると、とても駅まで行けそうになかった。
身体が重いうえにまだ全身が熱い。おまけにウェストに手を回して支えてもらっているだけなのに、身体が敏感に反応しているのが分かってしまう。

Hな気分じゃないのに、身体が勝手に・・・俊は親切に支えてくれているだけなのに・・・

意識を反らそうとすると余計に意識してしまう。
更にすれ違う人の目が、気になって仕方がない。
具合が悪いことなど分かっていない人の目が、興味深そうに自分の身体を見ている気がして仕方がない。
元気があるときは、男の人のいやらしい視線を意識しても、それを跳ね返して来たのに、今は身体にまとわり付かれるまま、好きなように視線で撫でられているように感じてしまう。

いや、耐えられない・・・誰もいない所へ行きたい・・・横になって休みたい・・・

急に立ち止った沙紀に俊が驚いた。

「どうした?歩くのが辛くなった?」

どう言って気持ちを伝えたらいいのか思いつかずに、俯いたり見つめたりしている沙紀を見て、それまでずっと黙っていた俊が遠慮がちに言った。

「あ、あの・・・変な意味で言うんじゃないけど・・・」

そう言うと沙紀を表通りから奥に入った狭い道へ連れて行く。

「その・・・少し休んだ方が良いと思うんだ。だから・・・その・・・ホテルへ・・・」

そう言って俊が視線を向けた先に、小さくても派手な色遣いの看板があるのを見て沙紀は
一瞬固まってしまった。
旅行や出張で使うようなホテルでないことはすぐに分かった。

琢磨が梨乃を誘うからって言った・・・そんな目的のためのホテル・・・だよね・・・
でも、本当にすぐにでも人気のないところで横になって休みたい・・・
どうしよう・・・

沙紀が躊躇している間にも、すれ違っていく男の視線は遠慮なく身体のラインを舐め回す様に見つめていく。
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