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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第13章 地下アイドルの秘密 編 1-1
ライブハウスでは他のアイドルグループやバンドとも知り合いになれて、仲の良い人達もいた。でも今回のコンテストの出場グループには知り合いはいない。初めてみる人達は、みんなかわいかったり綺麗で、態度も堂々としている様に見えてしまう。
自身を持って練習してきたつもりなのに、場違いな場所に来てしまった様な気がして、私は早くも怖気づいてしまった。気分が重くなってくる。

隣にいる夏妃に背中をポンと押されて、ハッと我に返った。
涼奈や舞風、心瑠も私と同じように、いやそれ以上に顔が強張っている。
ステージでお客さん相手に歌やダンスを披露する時とは違う、それを評価されて優劣を付けられる。駐車場にいるグループだけでなく他にもライバルはたくさんいる。自分たちが納得できるパフォーマンスをしても勝たなければ次が無い。
他のグループを実際に見て、そんなプレッシャーに負けそうになっているのが良く分かった。

しっかりしなきゃ・・・もう個人でオーデションを受けていた頃とは違うんだから・・・
夏妃にばかりまかせてちゃいけない・・・私も引っ張っていかなきゃ・・・
一度大きく息を吸って無理やリ笑顔を作った。
「他のグループがみんな自分達よりうまく見えてしまうけど、それは思い違いだから。それに相手だってきっと私達のことを、そんな思いで見ているはずだよ。だから気後れしちゃだめだからね」
「そうそう、愛美の言う通り」
夏妃は車から降りると、荷物を手分けして持った私達に言った。
「出来るだけ、みんなに挨拶していこうよ。きっと自分たちの為になるよ」
スタスタと先頭を歩く夏妃に続いて後ろを歩きながら、すれ違うアイドルグループに挨拶をしていく。
始めは恥ずかしくても、徐々に慣れて声が出てくる。相手の反応も良く見えるようになる。
ちゃんとあいさつを返してくれるところばかりではなかった。オロオロしてしまい返事もろくに出来ないグループもある。頭を軽く下げるだけならまだましで、喧嘩している訳でもないのに、睨まれてしまったりもした。
ただ、夏妃が言った様に挨拶は自分たちの為になっている、とハッキリ思えた。
大部屋の楽屋の中で、何組かのアイドルグループの中でも挨拶をして回った私達は、自然にその場の雰囲気に慣れ、それどころか自分たちの色に変えていけたようにさえ思えた。
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