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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第16章 ストーカー(僕の彼女)編 1-1
お菓子のコーナーで嬉しそうに商品を選んで籠に入れたルナは、セルフ
レジで支払いを済ますと、ちょっと慌てた風でお店を出ていく。
携帯での支払いに、どこのサービスを使っているか、を教えてくれたの
は良いけれど、僕も慌てて着いて行くしかなかった。

急いでいたのは、バスに乗り遅れないようにするためだった。バス停に
向って小走りにかけていく姿が可愛い。でもスカートの裾が大きく捲れ
てパンチㇻをしていることには気が付いていないみたいだ。
僕に見られることを気にしていないのは嬉しいけれど、さっきのは絶対
に他の人にも見られていた。
ルナはただでさえ目立つんだから、気を付けなよ・・・
注意してあげても彼女はそっぽを向いている。
今どきの女子高生は、それぐらいは気にしないの・・・
とでも言いたげだ。ちょっと拗ねているところが可愛い。
ふふ・・・ひょっとして、これは僕達の初めての喧嘩、かな・・・
楽しそうに笑う僕につられて、ルナも口元が緩む。
2人の仲は、こうして少しずつ深まっていくんだよ・・・

バスの中でルナは、別の学校の友達を見つけて二人掛けの椅子に座った
。僕は気を利かせて後ろの座席に座る。集音器を使わなくても会話には
加われるけど、彼女との思い出を残しておきたいからボイスレコーダー
のスイッチを入れた。

「ねぇルナ、またカラオケに行こうよ」と、お友達が言った。
「いいよ。あのメンバーなら楽しいし、みんな歌が上手いし」
「だよね。じゃ決まり。それでさぁ・・・ルナは今は彼、いないんだよ
ね?」
「うん、いないけど・・・どうして?」
「あの時の男の子達が知りたがってるの。ね、教えてもいい?」
「え~どうしよう・・・彼を欲しがってるみたいに思われない?」
「ないない、そんなことない」
「う~ん・・・どうしよう・・・」
小首を傾げているルナ。僕は後ろから彼女の綺麗なうなじを見つめ、そ
こにキスをする場面を想像しながら思った。
迷っているのは、気になる人がいるからだよね?・・・
「彼はいないけど、気になってる人はいるんだ」
「えっそうなの!誰誰?えっ・・・そうなんだ・・・」
思った通りだった。
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