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小鳥遊医局長の憂鬱
第10章 Honeymoon
「ところであなたはさっきの若者達と何のお話をしていたんですか?」

小鳥遊が聞くと冬は悪びれずもせずに言った。

「夜一緒に食事にでも行かない?って聞かれたの。」

小鳥遊は思わず手を止めて冬を見た。

「勿論断ったわよ。だって大学1年生の子達よ?悪いけど夫も子供も居て、あなたの2倍以上長く生きてるわよって言ったら絶句してたわ。」

冬がコロコロと笑ったが、小鳥遊は何も答えなかった。

「ねぇ。ガクさん。私もうちょっとここに居たいんだけど…駄目?」

「駄目です…僕の隣で添い寝して下さい。」

冬にきっぱりと言った。

「判ったわ。じゃぁ夜はどこか魚介類が美味しい素敵なレストランへ連れて行って♪」

いつもなら何か言いそうな冬だったが、さっさと荷物を纏め始めた。

「判りました。食事はあなたの好きなところでしましょう。」

冬はバッグを肩に掛けると、当たり前のように小鳥遊の腕に自分の腕を絡ませて歩いた。


「ガクさん。ホントに添い寝だけだからね。」


小鳥遊はホテルの部屋に帰る道すがら、先ほどの出来事を冬に話した。

「3Pはいつもしてるんだから、それがもう一人増えるだけでしょう?ガクさんがその誘いを受け無かった方が驚いちゃった。」

冬は少し意地悪に笑った。

「一番嫌だったのは、あなたが僕のトロフィーワイフだと思われたことです。」

思い出しただけで不機嫌になった。

「あら…そんな風に見えちゃった♪なんか嬉しいわね。」

水着の上にTシャツと短パンを履いた冬は、欧米人からしてみれば、まだ20代に、見えるだろう。それにもともと魅力的な女性であれば、余り年齢を気にしないお国柄だ。

「あなたも、年齢に相応しい恰好をして貰わないと困ります。」


小鳥遊は不機嫌に言った。
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