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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第10章 「第2の犠牲者」
日が傾き、空が暁に染まる頃
小学校では村の若者たちが慌ただしく走り回っていた
辰雄と拓海は昇降口から校門へと続く水溜りだらけの通路を眺めながら話をしていた
「もう校舎の中は粗方、探し終えたぞ…やっぱり何処か別の所を探した方がいいんじゃないか…?」
「しかし…あの雨の中を、一体どこへ行ったっていうんだ…」
「最後に晴美ちゃんを見た時はまだ降り始まる前だったんだろう…?」
「そこのあたりがいまいち曖昧なんだ…。」
「全く…しっかりしてくれよ。…だが、蘭ちゃんの事もある…なるべく早く見つけ出そう」
「しかし…蘭ちゃんの時と違って、今回は足元がこんな状態だから…」
「そろそろ純一が駐在所に着く頃だ、きっと直ぐに見つかるよ。」
二人の頭の片隅にはベットリと貼り付いて、拭いても拭いても決して拭い切れない不安があった…