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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第10章 「第2の犠牲者」
暁に染まってキラキラと光を放つ池の水の中を紅と漆黒の肌を持った鯉が悠然と泳いでいた
時折、小さな水音を立てて自信に満ちた顔を水面に現す
小さな波がゆっくりと広がり、池を覗き込んでいた珍田一の顔がグニャリと歪んだ
「珍田一先生…」
振り返ると手入れの行き届いた松の脇に勝江が立っていた
「勝江さん…」
勝江は珍田一の脇へと歩み寄った
「昨夜先生に抱いてもらってからあたし…一日中、身体が疼いてしまって…」
「勝江さん…」
「ねぇ先生…今夜も…あっ」
勝江は驚きのあまり、言葉を失ってしまった
隣にいる珍田一が勝江の足元にひれ伏し、土下座していたのである
「勝江さん…僕は不誠実な男です。大変申し訳ありませんでした…」
トレードマークである鳥の巣ような頭髪は苔生した地面に擦り付けられて、小刻みに震えている
勝江はゆっくりと珍田一の前にしゃがんだ