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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第10章 「第2の犠牲者」
外が俄かに騒がしい
もう夜の10時を回ったというのに、一体どうしたのか…
お楽しみ中の磯毛の邪魔にならないように、珍田一は静かに部屋を出た
あわび山荘の受付に数人の男の姿がある
応対しているのは勝江さんだった
「勝江さん…何かあったんでしょうか?」
勝江と男達はすがるように珍田一に視線を移した
「先生…近藤さんトコの晴海ちゃんが見当たらないって…村の人達が探しに来てるんです」
「ええっ…?こ、今度は晴海ちゃんですか?」
山岸蘭に続いて2人目の美女の失踪である
捜索隊に志願した男達の数は前回を遥かに上回っていた
「こうしてはいられません…ぼ、僕も一緒に探します…」
「いや、先生はココにおってください。昼間の雨で山道がぬかるんでいて土地勘のある村の者でないと、とても危険なんです。発見次第、先生や警部さんには真っ先に知らせますから…」
「先生…この人達の言う通りだと思いますよ。久米さんのお宅とココには電話もありますから、ココにいたほうが情報も早いと思いますよ…」
「そうですね…。では皆さん、捜索の方…よろしくお願いします…。」
村の男達は3つの集団に別れて捜索をしているらしい
明け方までに見つからなければ山の中にも捜索の範囲を広げるということだ
男達が捜索に戻ると、辺りは静けさを取り戻した
「勝江さん、女将はどちらへ…?」
「さぁ…。珍田一さんのお部屋から戻られると直ぐにお出かけになりましたよ?」
「え?こんな時間からですか?」
「ええ…あたしも気にはなったんですけど、女将さん…何だか酷く慌ててたんで聞きにくくて…」
たぶん凛さんの本当の父親に、今夜の事を知らせる為に違いない
やはり、凛さんの父親…敏夫さんを呼び出した人物は村の男だったんだ…