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変質者の手毬唄・珍田一耕助シリーズ
第10章 「第2の犠牲者」


ジットリとした蒸し暑い朝だった


窓を閉め切って寝てしまった為、部屋には全く風が入ってこない


まだ夜が明けてそんなに時間は経っていないようだが、部屋の中は真昼の様な暑さになっていた


珍田一は窓を開けて、木々の香りを孕んだ心地よい空気を部屋に取り込んだ


懐中時計の針は午前7時過ぎを指している



晴海ちゃんはまだ見つからないのだろうか…


夜を徹して捜索しても見つからないのか…


捜索の様子を知るものはいないのだろうか


珍田一は居ても立っても居られず、食堂へ向かった



食堂には朝食の準備を終えた女将と勝江さんが、お茶を飲んでいた



「おはようございます」


「あら珍田一先生、今朝は早いお目覚めですねぇ」


「あ、はい…晴海ちゃんの捜索の進み具合が気になって…」


「それが、まだ見つからないようなんですよ…。私達も知らせを受けられるように、交替で仮眠して待ってたんですけどねぇ…」


「そうでしたか…」


「先生…朝食の用意しましょうか?」


「あ…ありがとうございます、頂きます」



珍田一も女将も昨夜の凛の話に関しては一切触れなかった


勿論、その後の女将の外出についても珍田一は問いたださなかった





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