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あなたが教えてくれたこと
第1章 1
「もっと愉しませてやろう」

潰したまま乳首を引っ張られると痛みは快楽にさえ感じられた。

「あっあっあっ」と切なくて伸びのある吐息が溢れ出す。

「あなたっ……私、もうっ」

悩ましげな伏し目で夫を見る。
「気をやるときは俺の目を見ろ」と初夜の時から教わっていた。
「赦しをもらうまでは逝くな」という言いつけは今でも守れないときがある。
しかし努力を怠ることは赦されなかった。

正嗣は「まだだ」と目で伝える。何とか堪えようとする紫遠は足の指に力を籠めて震えていた。

「はぁっ! ごめっ……なさいっ……」

なかなか貰えない「よし」の言葉が待ちきれず、妻は全身をガクガクッと震わせて気を飛ばしてしまう。

言いつけを守れなかった紫遠を、嗜虐の夫は愉快にそうに嘲笑っていた。

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