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女医の診察日誌
第13章 不倫の結末
 その後も、妊婦特有のつわりをしながらも、彼女は臨月まで

診察を続けて、産前産後の二か月間は、大学から先生を派遣し

てもらい、クリニックは通常通りの診療を続けていた。

 それから数か月が過ぎ、胎児は女だと分かり、理恵は大喜び

であった。勇次もまた、妻に似た、美人になるだろうと、想像

していたのである。

 妻である理恵の誕生日と、子供が生まれてくる予定日、勇次

は、早朝四時に目覚めて、静かにベッドから下りて、一人ダ

イニングで座り、どうか、今日無事に生まれますようにと、両

手を合わせ、長い間、心の中で祈っていた。その時、寝室で物

音がしたような気がした、急いで見に行って見ると、妻が”破水

したわ” と、云うので産院に電話を入れ、自分の車に乗せ産院

に運び込み、暫く待合室で待っていた。やがて、苦しそうな妻

の声が、産室から聞こえてきたので、看護師に立ち会ってよい

か尋ね、承諾してもらい、その部屋に入り妻のベッド脇に座り、

苦しんでいる妻の身体を、さすりながら、”頑張るのだよ”と、

声を掛け続けていた。それは、昼前まで続いた。
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