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白薔薇の眠り姫 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第1章 白薔薇姫とワルツを
「少し休憩しましょう。お疲れになったでしょう」
縣は梨央を籐のベンチに休ませ、レコードの針を元に戻す。
どこに控えていたのか月城が静かに現れ、一礼して銀の盆に載せたレモネードを縣と梨央に勧め、また密やかに姿を消す。
「では、梨央さん、乾杯しましょう」
梨央は小さな手にレモネードのグラスを持ち、嬉しそうに縣のグラスと合わせる。
「乾杯!」
ストローで一生懸命、レモネードを飲む仕草も可愛らしい。
「美味しい!レモネードって、こんなに美味しかったのね!」
「身体を動かした後は美味しく感じるのですよ。梨央さんもこれから少しずつ運動された方がいいかも知れませんね」
そう言いながら、縣は梨央の髪のほつれを直してやる。
…と、その拍子に梨央の唇に指先が触れる。
指先に甘い衝撃が走った。
…柔らかい果実のような感触…。
縣はドキドキする。
ベンチに並んで座り、よく冷えたレモネードを飲みながら二人で薔薇を眺める。
温室の窓越しに晴れ渡る空が見えた。
…永遠のような、永遠ではない春の午後…。
縣は咳払いしながら、口を開く。
「…いつか、梨央さんが舞踏会に行かれたら…最初のワルツは僕と踊って…」
…いただけますか?
と、聞こうとして横の梨央を見ると…
…梨央はすやすやと眠りに落ちていた。
縣は思わず、微笑みを洩らす。
…久しぶりに運動されてお疲れになったんだな…。
縣は梨央の手から静かにレモネードのグラスを受け取り、そっと自分の方に頭を凭れかからせる。
「…おやすみなさい、僕の白薔薇の眠り姫…」
梨央の清らかな額にそっと口付ける。
…いつか、貴方が大きくなったら…
縣は梨央の頭を優しく抱き寄せながら、目を閉じる。
林檎の花のような香りが甘く切なく胸を締め付ける。
…いつか、貴方とワルツが踊れますように…。
〜Fin〜
縣は梨央を籐のベンチに休ませ、レコードの針を元に戻す。
どこに控えていたのか月城が静かに現れ、一礼して銀の盆に載せたレモネードを縣と梨央に勧め、また密やかに姿を消す。
「では、梨央さん、乾杯しましょう」
梨央は小さな手にレモネードのグラスを持ち、嬉しそうに縣のグラスと合わせる。
「乾杯!」
ストローで一生懸命、レモネードを飲む仕草も可愛らしい。
「美味しい!レモネードって、こんなに美味しかったのね!」
「身体を動かした後は美味しく感じるのですよ。梨央さんもこれから少しずつ運動された方がいいかも知れませんね」
そう言いながら、縣は梨央の髪のほつれを直してやる。
…と、その拍子に梨央の唇に指先が触れる。
指先に甘い衝撃が走った。
…柔らかい果実のような感触…。
縣はドキドキする。
ベンチに並んで座り、よく冷えたレモネードを飲みながら二人で薔薇を眺める。
温室の窓越しに晴れ渡る空が見えた。
…永遠のような、永遠ではない春の午後…。
縣は咳払いしながら、口を開く。
「…いつか、梨央さんが舞踏会に行かれたら…最初のワルツは僕と踊って…」
…いただけますか?
と、聞こうとして横の梨央を見ると…
…梨央はすやすやと眠りに落ちていた。
縣は思わず、微笑みを洩らす。
…久しぶりに運動されてお疲れになったんだな…。
縣は梨央の手から静かにレモネードのグラスを受け取り、そっと自分の方に頭を凭れかからせる。
「…おやすみなさい、僕の白薔薇の眠り姫…」
梨央の清らかな額にそっと口付ける。
…いつか、貴方が大きくなったら…
縣は梨央の頭を優しく抱き寄せながら、目を閉じる。
林檎の花のような香りが甘く切なく胸を締め付ける。
…いつか、貴方とワルツが踊れますように…。
〜Fin〜