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Vesica Pisces
第5章 太陽は静寂を焼く
メイクを落として持って来ていたルームウェアに着替える。

女優さんもモデルさんもメイクさんもここに来ればただの女の子で、仕事やプライベートよりも恋愛話が一番盛り上がった。

「今日のメンバー、かなり盛り上がったよね!」

類は友を呼ぶを目の当たりにする。

「やっぱり稜はカッコいいよね!」
「えー?アルでしょ、話してて楽しいよ」
「ジェソンじゃない?センス抜群だもん」
「盛り上げたのは武くんだよ」

口々にお気に入りの子を推して笑顔が溢れる。

「伽耶は?やっぱ嘉にぃ?」

急に話を振られてとっさに反応出来ない伽耶。

「え?付き合ってないの?」
「めっちゃ世話焼いてたよね、嘉登くん」

『嘉登さんとはそんなんじゃないから!!』

「いいのいいの、嘉にぃなら私も安心だし!」

『未知!本当に違うの!』

「嘉にぃー、伽耶のこと大切にしないと絶交だからねー」

未知は口元に手を添えて防音でない扉に向かって叫んだ。

「そっか!この部屋防音じゃないから、さっきの話筒抜けじゃーん」

あっけらかんと笑い合えるのは、そこまで恋愛を意識していない間柄だからだろう。

伽耶はさっきの誤解をどう解いたらいいか、きっかけを探していた。
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