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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第5章 糸口
彼は顎を少し引くようにしてうなずき、わたしがすべてを話してしまうまで黙って聞いていた。
咳払いを何度しても、つまずくような話し方になってしまう。
それでも彼は辛抱強く聞いてくれた。誠実な瞳をして。
「──うん、わかった。れみの気持ち、よくわかったよ」
そう言ってわたしの隣に座り、優しく髪を撫でてくれた。
毛先まで慎重に指を通して、それが貴重な糸であるかのようにゆっくりと。
心地よくて、うっとりする。
はじめは髪を撫でるのがうまい、と思った。優しく、規則正しく行っては帰ってくる。
それは次第に速度を落としていき、毛先の最後の最後にぴたりと止まってふわりとわたしの頬へと導かれていく。
彼の目が濡れているように潤んで見えた。
花のように広がる美しい虹彩がハッキリと見える距離まで近づき、彼がわたしにそっとキスを落とした。二度、三度と彼がその唇でわたしの唇を撫でるようにキスをする。
甘い吐息が零れ、名前を呼ぶ声が囁くようなものになった。
緊張が唇の先、そして指先から伝わってくる。
この間のこと──失敗が──頭をよぎる。きっと彼も。
相手を傷つけたくないという気持ちが身体を硬くする。
彼の背中に腕をまわし、さするように、あるいは掴むようにしてすがりついた。
閉じた目蓋の裏側に優しげな彼の笑顔が浮かぶ。わたしたちは愛し合っている。大丈夫──。
咳払いを何度しても、つまずくような話し方になってしまう。
それでも彼は辛抱強く聞いてくれた。誠実な瞳をして。
「──うん、わかった。れみの気持ち、よくわかったよ」
そう言ってわたしの隣に座り、優しく髪を撫でてくれた。
毛先まで慎重に指を通して、それが貴重な糸であるかのようにゆっくりと。
心地よくて、うっとりする。
はじめは髪を撫でるのがうまい、と思った。優しく、規則正しく行っては帰ってくる。
それは次第に速度を落としていき、毛先の最後の最後にぴたりと止まってふわりとわたしの頬へと導かれていく。
彼の目が濡れているように潤んで見えた。
花のように広がる美しい虹彩がハッキリと見える距離まで近づき、彼がわたしにそっとキスを落とした。二度、三度と彼がその唇でわたしの唇を撫でるようにキスをする。
甘い吐息が零れ、名前を呼ぶ声が囁くようなものになった。
緊張が唇の先、そして指先から伝わってくる。
この間のこと──失敗が──頭をよぎる。きっと彼も。
相手を傷つけたくないという気持ちが身体を硬くする。
彼の背中に腕をまわし、さするように、あるいは掴むようにしてすがりついた。
閉じた目蓋の裏側に優しげな彼の笑顔が浮かぶ。わたしたちは愛し合っている。大丈夫──。