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恋はいつでも平行線【完結】
第20章 *二十*
 初対面のくせに馴れ馴れしく、だけどそれが嫌だと思えないし、なんだか前から知っているような気がするのは、雪さんから分裂(?)したからだろうか。
 野に咲く露草みたいな瞳で心配そうに覗き込んでくる顔を見て、名前を決めた。

「青」
「……青?」
「瞳が露草色だから、露草にしようかと思ったけど、名前にするにはおかしいかなと思ったから、青」

 青という名前もおかしいかもだけど、それ以上に合いそうな名前を思いつけなかったから、青にしてみた。

「えぇ、とてもいい名前だと思います」

 と雪さんは言ってくれたけど、青本人はどう思っているのか分からず、視線を向けると、抱きついてきたばかりか、唇を塞いできた。
 ちょっ、ちょっと!
 青は興奮したかのようにわたしの唇を貪ると、ぎゅっと抱きしめてきた。

「柚希、俺は嬉しい!」

 喜んでくれるのは嬉しいんだけど、君、男の姿をしてるんだから、抱きついたりキスしたりというのは自重しなさい!

「雪さんっ」

 助けてほしくて雪さんの名を呼んだけど、笑みを返されただけだった。

「青、離れてっ!」
「やだ」

 やだってなに!

「柚希さま、青は水ですから、知識はたくさんありますが、それはまだ、人の姿を取ったばかりです。不安に思うことが多いので、そうやってひっつくのは、諦めてください」
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