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恋はいつでも平行線【完結】
第21章 *二十一*
     *

 ふ……と、左手首に焼けるような痛みを感じて、意識だけが浮上してきた。

 な……に、これっ!
 むちゃくちゃ痛いのですが!

 ぎりぎりと締め付け……というより、捻り切られるかのような痛みに悲鳴を上げたかったけれど、身体も動かないし、声も上げられない。

 しかもそれだけではなく、耳元でぬるくて生臭い不快な息とともに、心臓が凍り付きそうな怨嗟の声がした。

『返し……て、返せぇぇぇぇ』

 返せって言われても、なにを?

『甘い、精液……私の! 搾り取っていた、のに! もう少しで、おまえの腕ももぎ取れたのに! 腕輪、返せえええ』

 せせせ、精液っ?
 それに腕輪?

『返せぇ』

 ぎりぎりぎり、と音が聞こえそうなくらい、手首を捻られているのが分かった。
 痛い、痛い、痛い!
 喚きたいくらい、痛い!
 それなのに、身体も動かないし、声も出ない。

 だれか、助けて……っ!

 ごきっと嫌な音がした、と思ったら、急に痛みがなくなった。

「ったく、俺の柚希にナニしてくれてるの」
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