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恋はいつでも平行線【完結】
第21章 *二十一*
 目も開けられない状態だけど、声で青だと分かった。

「雪の助けがなかったらこれなかったのは不愉快だけど、おまえ、要らない」
『おまえ……からは、もっと、甘い、匂い……。精液、寄越せぇぇえええ!』
「やだ。おまえ、不快だから消えて」

 青の消えて、という言葉に被さるように、爆発音がして、身体が揺れた。
 目を開けられないから、なにが起こったのか分からないけれど、瞼ごしに眩い光を感じた。

「柚希、遅くなってごめんね。もう怖くないから」

 そう言って、さっきと同じように少しぬめりがある温かな水に包まれた。

「俺、そばにいるから」

 青にそう言われた後、身体がぶるりと震えた。
 あまりの恐怖に心が凍り付いて、遅れて怖いと感じたようだ。

「泣いても、大丈夫だよ。俺の水が、顔を濡らしただけだから」

 そう言われたと同時に、目元をひんやりとしたものが触れた。
 瞼越しだったけれど、青の手のひらであることが分かった。

「柚希は俺にとって、命の源だから」

 その言葉で、青はやはり人間ではないと理解した。
 それと同時に、なんだか無性に寂しくなった。
 たぶんここは夢の中だと思うけれど、涙があふれてきた。

「柚希は涙まで甘いね」

 青の嬉しそうな声に、わたしはますます悲しくなって、ここは夢の中だから泣いてもいいと自分に言い聞かせ、子どものように泣きじゃくった。
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