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恋はいつでも平行線【完結】
第21章 *二十一*
     *

 目が覚めたら、部屋の中が薄暗かった。
 わたしを後ろから抱えるようにして、青が寝転がっていた。
 寝過ぎたからなのか、身体が怠い。

「柚希、おはよ」
「……おはよ、じゃないでしょ」
「そうだね、夕方だから違うけど、でも、柚希は今、起きたんだから、おはよでいいんだよ」

 青の声はわたしの耳に心地良く響く。しかもそこに甘さも秘めていて、くすぐったい気持ちになる。
 でもこれはきっと、わたしの願望だ。
 だって青は、水の化身なのだ。こんなに甘ったるいわけがない。
 いかにわたしからその……蜜、をせしめてやろうかとしか考えてないと思われる。

「どこかきつい、痛いとこ、ない?」
「身体、怠い」
「あ、うん。柚希が美味しくて、ちょっとたくさん蜜を取りすぎちゃったかな? あとはほら、夢になんか変なのが出てきてたし」

 それに、たくさん泣いちゃったでしょ?
 柚希の涙、甘くて美味しかったから、俺は得した気分だったけど、と耳元で甘く囁かれ、恥ずかしくて頬が熱くなった。

「もう、そういう反応されたら、柚希から甘い匂いがして我慢できなくなるんだけど」

 青はそう言うと、首筋に唇を寄せてきた。

「すごい、柚希。どこもかしこも甘い匂いがする」
「しないから!」

 青は後ろから首筋に唇を這わせ、わたしを煽る。

「ね、柚希。左手、見せて」

 青は甘えた声でそんなことを言ってきたので、左腕を布団から出そうとしたら、ひどい痛みが走った。

「────っ!」
「柚希、大丈夫?」

 青は首筋から唇を離し、慌てて布団をはがしてわたしの手首にそっと触れた。
 わたしも左手首に視線をやると……。

「なに、これっ!」

 左手首の金のブレスレットは、青があっという間に溶かした。
 そのときは手首にはなんにもなかった。
 なのに今、見ると、紫色の痣がついていた。

「ったく、柚希は俺のなのに、気に入らないな、これ」
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