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恋はいつでも平行線【完結】
第19章 *十九*
雪さんはそういいながら、わたしの腰に手を回し、足を絡めてきた。
前からスキンシップが激しい人だなーとは思っていたけれど、ちょっとこれはないのではないでしょうか。
わたしも振り払えばいいのだろうけど、なんというか、まあ、雪さんは女の人だし、気が済めば向こうから離れるし、別にこれくらいならいいかな、と思って放置することにした。
気にしていたら負けだ。
「お酒を造っていて、お酒造りに必要な水を崇めている家としか認識してませんが」
巫女もやっているけれど、それは姉が家と一緒に継ぐ。
わたしは神田家の血を引いているから、姉になにかがあったときの次点の巫女。
姉になにかなんてないから、わたしにはその役目は回ってこないので、ここから出て行った。
「間違っていないけれど、間違っています」
「……はい?」
「逆です。私たちは、あなたたちのことが気に入っているから、側にいるだけです」
意味が分からないのですが。
「雪さん、さっきからずっと、私たちと言っているけど、前に聞いた、一族の人たち……のこと?」
雪さん以外を見たことがないけれど、前に聞いた時にそんなことを言われたので、そう聞くと、またもや小さく笑われた。
「昔に聞かれた時、柚希さまに気がつかれたのかと思って焦ってそう説明しましたけど、ちょっと違います」
「え、違うの?」
やっぱり、一族なんていないってこと?
「先ほど、柚希さまは私が水のようになっていたのを見ましたよね?」
先ほどより少し低い、ちょっと威嚇を込められたような声に、わたしは固まった。
はい、とも、いいえ、とも答えられない。どっちに転んでも、恐ろしい結末が待っているとしか思えない。
だから硬直していると、雪さんはわたしの頬を撫でながら、またもや耳を食んだ。
お願いだから、そういうのは止めてくださいって!
「そうですよねぇ、答えにくいですよねぇ」
分かっているのなら、聞かないでよ!
「柚希さま、私は、水、なのですよ」
前からスキンシップが激しい人だなーとは思っていたけれど、ちょっとこれはないのではないでしょうか。
わたしも振り払えばいいのだろうけど、なんというか、まあ、雪さんは女の人だし、気が済めば向こうから離れるし、別にこれくらいならいいかな、と思って放置することにした。
気にしていたら負けだ。
「お酒を造っていて、お酒造りに必要な水を崇めている家としか認識してませんが」
巫女もやっているけれど、それは姉が家と一緒に継ぐ。
わたしは神田家の血を引いているから、姉になにかがあったときの次点の巫女。
姉になにかなんてないから、わたしにはその役目は回ってこないので、ここから出て行った。
「間違っていないけれど、間違っています」
「……はい?」
「逆です。私たちは、あなたたちのことが気に入っているから、側にいるだけです」
意味が分からないのですが。
「雪さん、さっきからずっと、私たちと言っているけど、前に聞いた、一族の人たち……のこと?」
雪さん以外を見たことがないけれど、前に聞いた時にそんなことを言われたので、そう聞くと、またもや小さく笑われた。
「昔に聞かれた時、柚希さまに気がつかれたのかと思って焦ってそう説明しましたけど、ちょっと違います」
「え、違うの?」
やっぱり、一族なんていないってこと?
「先ほど、柚希さまは私が水のようになっていたのを見ましたよね?」
先ほどより少し低い、ちょっと威嚇を込められたような声に、わたしは固まった。
はい、とも、いいえ、とも答えられない。どっちに転んでも、恐ろしい結末が待っているとしか思えない。
だから硬直していると、雪さんはわたしの頬を撫でながら、またもや耳を食んだ。
お願いだから、そういうのは止めてくださいって!
「そうですよねぇ、答えにくいですよねぇ」
分かっているのなら、聞かないでよ!
「柚希さま、私は、水、なのですよ」