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濡れて溺れて
第1章 濡れて溺れて
「あ……」

 蜜壷を突いていた男の逸物が抜け、その切なさに女は思わず吐息を漏らした。

「水沢さん……」

 呼びかけには答えず、男――……水沢は手早くゴムを外した。そして、女の顔めがけて中身をぶちまける。口中にまで侵入した液体は生温く独特な味がして、あまり気分の良いものではなかった。嘔吐きそうになるのを噎せたふりをしてごまかし、飲み込む。だが、それはいつの間にか口から垂れていたらしく、水沢はぺろりと女の唇の端を舐めた。

「……不味いな」

 心を見透かすような押し殺した声に、女の肩がギクリと強張る。いつもの彼なら、出すものを出して満足したところで、彼女の体に残った性欲など関係無しにシャワーを浴びに行ってしまうのだが、今日は違った。
 萎れたばかりとは思えないその姿はさながら獣のようで、水沢は再び女に覆い被さる。口づけ、流した体液を取り戻すかのように激しく貪りながら、静かに己のモノを彼女に充てがい、とば口を割る。しとどに濡れた女のそれはすっぽりと肉棒を咥え、体内に引きずり込んでいく。先程の行為では達せず、快感を持て余していた彼女にその刺激はあまりに非情で、自ら水沢を抱きしめていた。

「……体力は残ってるみたいだな、新庄」

 彼はそう言って、不敵な笑みを浮かべた。
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