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薔薇色の鎖
第3章 乱される
「ほら、玲奈ついたよ。」

聡さんの優しい声で、わたしは眠りの世界から引き戻された。

いつの間に寝てしまったのだろう。

ゆっくり瞳を開けると、そこは電車のなかだった。

そうだ、聡さんとの初めての旅行。

ああ、夢じゃなかったんだ。

わたしは安心して、わたしの髪を撫でるそのひとを見上げて微笑む。

聡さんが、少し困った顔で微笑んでいった。

「玲奈に起こしてほしかったのに、玲奈より先に起きちゃって残念だったよ。
寝顔みてたらイタズラしたくなったけど、さすがにそれは我慢した。」

危なく彼と一緒に公然猥褻で逮捕されるところだった…

そして二人で駅に降り立つ。

そこは、都内から電車で二時間もかからない有名な温泉地。

何回か私も家族や友人と来ることはあっても、好きなひとと来るのは初めてでドキドキしてる。

季節は夏に差し掛かっていて、強い日差しが眩しいけれど、列車から臨む海面はキラキラと輝いていた。

「まだチェックインまで時間があるから、しばらく歩こうか。」

そう言って、聡さんが私の手をとり自然に繋ぐ。

一緒に住んではいるけれど、なかなか聡さんの仕事が忙しいのと、わたしは土日がバイトの時が多いので、住んでからの3ヶ月出掛けたりする事はほぼなかった。

初デートなのかな…そう思うといつもにも増してドキドキしてしまう。
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