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薔薇色の鎖
第3章 乱される
「チェックインにはまだ早いから、すこし宿まで歩こうか。」

聡さんはそう言って歩き始める。

駅をおりると駅前に商店街が広がっていて、わたしたちはゆっくり店先に並んでいる商品を眺めながら歩く。

「昔家族でこの場所に来たことがあって、あの頃とあんまり変わらないから嬉しいな。」

わたしがそういうと、聡さんが優しく微笑む。

「そう言ってくれると嬉しいな。
僕は実は人生で初めて旅行にきたから、玲奈が喜んでくれるか不安だったよ。」

彼はさらりと驚くようなことを時々いう。

「家族とか友達とか…その…彼女さんとかとも一回もきたことないんですか?」

私がそういうと、彼は珍しそうに町並みを眺めながら言った。

「そうだね、片親で母は仕事ばかりだったし。
友人も限られたやつしか作らなかったしね。
彼女は今まで一度も作ったことはないし。」

そんな事を言われると、すこしだけ期待してしまう。

聡さんのなかでわたしは特別なんじゃないかって。

ゆっくり下り坂の道で干物やをみたり、すこし横道に入ってみたりと、二人で観光を楽しむ。

坂の横から海岸が見えて、思わずその景色に見とれていると、聡さんに後ろから抱き締められた。

「もう夏だし、海に入りにいこうか。
玲奈の水着姿に、僕興奮しそうだけど。」
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