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Blue Roses〜2度目の恋 最後の愛〜
第2章 狭く冷たい星空
――― ぶるぶるっ。

どれぐらい経っただろうか?寒さで理紗は目が覚めた。
口紅や車のキー、予定の書かれた手帳などが散らばっていた。そして節々が痛む身体をやっとの思いで起こすと、それらをかき集めた。

携帯も見当たらず、投げ捨てられた財布からは、現金とクレジットカードが引き抜かれていた。

壁に手を付いて何とか立ち上がると、ずるずると身体を引きずる様にして、コンサートホールへと戻った。

その道のりがまるで永遠のように感じられた。先ほどの様な寒さは感じず、涙が止めどなく頬を流れ続けた。

一歩踏み出すごとに足の間から生暖かい精液が太ももを伝い垂れ、履いている赤いヒールの中まで入り込み、ぐちゃぐちゃと音を立てた。

身体から汗と精液のもわもわとした香りが鼻を突いた。
幸いな事にホールの裏口まで誰にも会わずに戻って来れた。イヴァンはいつも最後に帰り、打ち上げ会場へ向かうのが常だった。

…まだきっと…いる筈。

抑えつけられた手首や足がずきずきと痛み、その痛みで何度も意識を失いそうになった。

角を曲がると、煌々と明かりがともされているホールの裏口が見えた。

…もう少し…あと20m。

どこか遠くでパトカーのサイレンの音が聞こえた。

――― バタン。

丁度 裏口のドアが開くとイヴァンが笑いながら出て来た。

(…イヴァン!!)

その顔を見るとホッとした。ゆっくりと歩いて行くと、後ろから女が出て来た。その女とは面識があった。コンサート前にイヴァンに期待の新人だと紹介され、コンサート・デビューしたばかりのピアニスト。

(イヴァン!!)

理紗は声を出したつもりだったが、白い息が漏れるだけだった。

イヴァンは女性の手を引っ張るとキスをして、スカートの中に手を入れた。
「もうイヴァンったら♪婚約者が居るのにいけない人っ。」

「ふふふ。わたしはまだ独身だからね。君にはこれからも色々と指導しなくちゃいけないからね。」

白いショーツの中にイヴァンの手が入り込んだのが見えた。
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