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篠突く - 禁断の果実 -
第11章 過去編四話 苦悩 (後編)
俺、ずっと女の子に恋したことがなかった。これまでずっと。今までにも何人かに告白されて付き合ったことはあるよ。でも、何とも思わなかったんだ。一緒にいたいとか、手を繋ぎたいとか、そういうの全部。
俺、男が好きなのかな。そう思って、一回だけ試してみたことがある。でも全然。女の子と付き合った時と何も変わらなかった。
それで、五ヶ月前のあの日、やっと気づいたんだよ。俺、ずっと姉さんのことが好きだったんだ……って。
だって、姉さんが彼氏を家に連れてきた時、すごく苦しかった。心臓がぎゅって握りしめられるような感じだった。
姉さんが俺を助けてくれた時、ああ、姉さんが俺の母親か、赤の他人だったらなって思ったよ。そしたら俺、幸せだった。こんなふうに思わなかった。
でも、姉さんは姉さんだ。姉さんのことが好きだなんて、一生言うつもり、無かったんだよ。だから、他の女の子を好きになろうと思った。林さんと付き合ったのだってそうだ。そうすれば、忘れられると思った。でも無理だった。だって、俺が好きなのは姉さんなんだから。
自分勝手なことを言ってるのはわかってる。今の姉さんに彼氏がいなくても、俺の言ってることが間違ってるのはわかってる。でも、俺が好きなのは姉さんなんだ。今までも、これからだってそうだ。でも……そんなの、無理な願いじゃないか……。