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篠突く - 禁断の果実 -
第11章 過去編四話 苦悩 (後編)
 血の繋がった者が恋に落ちることも、行為をすることも、許されない世の中。孝哉は、絶対に恋してはいけない人への恋慕を抱えて、姉さんのことが好きだと幾度も吐くように言った。そうすることで、これは道ならぬ恋なのだと自分に言い聞かせるように。
 話は終わった。これでいい。これでいいんだ。もしも悠にダメだと言われたなら、その時はおとなしく自分の部屋へ帰ろう。孝哉が悠を抱く腕を解くと、彼女は彼の正面へと向き直った。
 降り続く雨が激しさを増す。バケツをひっくり返したようなそれは、屋根を破らんばかりに、窓を割らんばかりに叩きつける。まるで、空が泣いているようだった。こんな雨の中なら、外に立って涙を流していても、きっと誰にも気がつかれない。

「……知ってたわよ」
「……え?」

 うっすらと涙の滲んだ瞳が、悠の視線をとらえた。
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