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篠突く - 禁断の果実 -
第11章 過去編四話 苦悩 (後編)
「あんな泣きそうな顔でキスされちゃ、誰だって気がつくわよ」
「じゃあ、ずっとわかって……?」
「私、バカじゃないのよ」
そうか。彼女は誤解していたわけではなかったのか。孝哉は、微かな喜びに胸を躍らせた。
けれど、悠の瞳の奥には真剣な色がたたえられている。弟の気持ちに気がついていたとしても、それを受け入れるかどうかは彼女次第だ。こっぴどく詰られて、軽蔑されるかもしれない。拒絶されて、二度と口をきいてもらえないかもしれない。途端、強い不安に苛まれた。孝哉の心臓が、早鐘を打つ。
だが、彼の心情とは裏腹に、悠の反応は思ったよりあっさりとしていた。
「……あんた、どういうことだかわかって言ってるのよね?」
「……うん」
「私達は姉弟よ。一回でもしたら、もう元には戻れない。普通の姉弟じゃいられなくなるのよ。……それでも、いいのね」
悠は孝哉の返事を待つことなく、躊躇いの無い動作で、着ていた生成りのセーターに手をかけた。捲られた裾からちらりと覗いたのは、真白のワイシャツの裾と、黒い下着に覆われた、なだらかな腹。
「じゃあ、ずっとわかって……?」
「私、バカじゃないのよ」
そうか。彼女は誤解していたわけではなかったのか。孝哉は、微かな喜びに胸を躍らせた。
けれど、悠の瞳の奥には真剣な色がたたえられている。弟の気持ちに気がついていたとしても、それを受け入れるかどうかは彼女次第だ。こっぴどく詰られて、軽蔑されるかもしれない。拒絶されて、二度と口をきいてもらえないかもしれない。途端、強い不安に苛まれた。孝哉の心臓が、早鐘を打つ。
だが、彼の心情とは裏腹に、悠の反応は思ったよりあっさりとしていた。
「……あんた、どういうことだかわかって言ってるのよね?」
「……うん」
「私達は姉弟よ。一回でもしたら、もう元には戻れない。普通の姉弟じゃいられなくなるのよ。……それでも、いいのね」
悠は孝哉の返事を待つことなく、躊躇いの無い動作で、着ていた生成りのセーターに手をかけた。捲られた裾からちらりと覗いたのは、真白のワイシャツの裾と、黒い下着に覆われた、なだらかな腹。