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篠突く - 禁断の果実 -
第11章 過去編四話 苦悩 (後編)
「ま、待って、姉さん」
孝哉の焦ったような声に、悠の手が止まる。
「何よ」
「……本当にするの……?」
「誰が言い出したのよ……」
「そうじゃなくて。……姉さんは、それでいいの?」
「……バカね。嫌だったら、今頃あんたのことなんてぶん殴ってるわよ」
呆れて溜め息を吐いた悠は、興が冷めたというふうにベッドの上に転がった。
プリーツスカートのひだは乱雑に踊り、その中身が孝哉を誘うように覗いている。あまり厚みのない黒のタイツは、太股の白をぼんやりと浮かび上がらせ、淫靡に香る。
「……ねぇ、覚えてる?」
八千代椿のような色をした悠の唇が、空気を甘く震わせた。
「去年の終わり頃、ここに相田君って男の子を連れてきたの」
「……言ったでしょ、苦しかったって。忘れるわけがない」
相田とは、悠が以前付き合っていた男だ。彼は悠のひとつ歳上で、学校の人気者だった。二人が付き合うようになってから、悠が他の女生徒から嫌がらせを受けていたのを、孝哉は知っている。
そして、相田はどうしようもない男だった。
「アイツ、部屋に入ってきて早々、私に言ったのよ。……ヤらせてって」
孝哉の焦ったような声に、悠の手が止まる。
「何よ」
「……本当にするの……?」
「誰が言い出したのよ……」
「そうじゃなくて。……姉さんは、それでいいの?」
「……バカね。嫌だったら、今頃あんたのことなんてぶん殴ってるわよ」
呆れて溜め息を吐いた悠は、興が冷めたというふうにベッドの上に転がった。
プリーツスカートのひだは乱雑に踊り、その中身が孝哉を誘うように覗いている。あまり厚みのない黒のタイツは、太股の白をぼんやりと浮かび上がらせ、淫靡に香る。
「……ねぇ、覚えてる?」
八千代椿のような色をした悠の唇が、空気を甘く震わせた。
「去年の終わり頃、ここに相田君って男の子を連れてきたの」
「……言ったでしょ、苦しかったって。忘れるわけがない」
相田とは、悠が以前付き合っていた男だ。彼は悠のひとつ歳上で、学校の人気者だった。二人が付き合うようになってから、悠が他の女生徒から嫌がらせを受けていたのを、孝哉は知っている。
そして、相田はどうしようもない男だった。
「アイツ、部屋に入ってきて早々、私に言ったのよ。……ヤらせてって」