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篠突く - 禁断の果実 -
第12章 過去編五話 初めての
孝哉は大きく目を開き、息を止めた。
――好きだと。自分のことを、姉も好きだと。
彼は力が抜けたようにははっと笑って、悠の隣にどさりと腰を下ろした。
無言のまま、二人の視線が熱を帯びて絡み合う。互いの脚をぴたりと寄せて間を詰めると、二人はどちらからともなく唇を重ねた。啄むようなキスは、やがて深いものへと変わっていく。
テクニックなどは無いが、二人は日常のようにさりげなくキスを交わした。容姿端麗な彼らは、異性との関係が絶えなかった。これまで他人を好きになることはなかったが、声をかけてきた人間とは一通り付き合った。手も繋いだし、キスもした。けれど、その先へ進んだことは一度もなかった。
二人は唾液の音を立てながら、ベッドにもつれ込んだ。首筋に指を這わせて悠を抱けば、彼女の指は孝哉の背中をつつっと撫でた。
こんな天気の日は良い。降りしきる雨が、時折耳を裂いていく雷が、いやらしい声を消してくれる。灰色の空が、影の落ちた空間が、姉の姿を隠してくれる。花のように甘い彼女の香りさえ無視すれば、目の前にいるのが姉だということは忘れられる。
――好きだと。自分のことを、姉も好きだと。
彼は力が抜けたようにははっと笑って、悠の隣にどさりと腰を下ろした。
無言のまま、二人の視線が熱を帯びて絡み合う。互いの脚をぴたりと寄せて間を詰めると、二人はどちらからともなく唇を重ねた。啄むようなキスは、やがて深いものへと変わっていく。
テクニックなどは無いが、二人は日常のようにさりげなくキスを交わした。容姿端麗な彼らは、異性との関係が絶えなかった。これまで他人を好きになることはなかったが、声をかけてきた人間とは一通り付き合った。手も繋いだし、キスもした。けれど、その先へ進んだことは一度もなかった。
二人は唾液の音を立てながら、ベッドにもつれ込んだ。首筋に指を這わせて悠を抱けば、彼女の指は孝哉の背中をつつっと撫でた。
こんな天気の日は良い。降りしきる雨が、時折耳を裂いていく雷が、いやらしい声を消してくれる。灰色の空が、影の落ちた空間が、姉の姿を隠してくれる。花のように甘い彼女の香りさえ無視すれば、目の前にいるのが姉だということは忘れられる。